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女王メーヴの墓
ケルト神話に現れるアイルランドの英雄クーフーリン(Cuchulainn)にたびたび敵対するのが、コノート(Connacht)の女王メーヴ(英語でMaeveMedbとも書く)である。
メーヴはアルスター(Ulster)に侵略するたびにクーフーリンに撃退されるのだが、ついにはルゲイド(Lugaid)と共謀してクーフーリンを死に追いやる。

その女王メーヴの墓(英語でQueen Maeve's grave、Queen Maeve's cairn)と伝わっているのが、コノート州スライゴー(Sligo)の近郊、ノックナレイ山(Knocknarea Mountain)の山頂にある墳墓である。実はこの墳墓、作られた年代から考えると明らかにクーフーリンの時代からはずれるのだが、ちょっとそこは夢を持って言い伝えを信じ、この地を訪れてみてもよいのではないだろうか。
たどり着き方
スライゴーへは、ダブリン(Dublin)から特急列車を使って3時間ほどで到着する。長距離バスを使うと4時間ほどでスライゴーに到着することができる。
スライゴーの町からノックナレイ山までは残念ながら公共交通が存在しない。かといって片道5km以上を歩くなど現実的ではないので、レンタカーかタクシーを使うしかないと思われる。タクシーだと片道10ユーロほどで、駐車場で1時間半後(余裕をみるなら2時間後)に迎えに来てくれと頼んでおけばOKである。


車で入れるのはノックナレイ山ふもとの駐車場までで、そこから山頂までは歩かなければならない。登りは、観光ガイドには45 minutes walkと書いてあるが、健脚な人なら30分であがれるだろう。ちなみに私は急ぎ足で20分で山頂に到着した。下りにかかる時間は登りから2割くらい割り引いて考えればよい。

ノックナレイ山は山というより丘というのが正確な小山で、道の半ばまでかなりゆるやかな坂になっているが、途中から急に坂の角度が増す。緩やかな坂の両側は牧場になっていて、道に牛馬の落とし物が転がっているので注意が必要である。そのせいか、ハエがよってくるのも気になった。


※BOSS_到達:2007年8月
インフォメーション
入場料:無料
開館:24時間
休館日:なし


KNOCKNAREA
Queen Medhbh, goddess and mythical queen of Connacht, is said to be buried under this great stone mound on top of the hill of Knocknarea. The mound may contain a passage grave like that known at Newgrange, and was probably erected circa 2500 B.C. like Newgrange and Knowth. It also has smaller satelite tombs around it.
到達時の感想
まず、Knocknareaの発音方法がわからない(ノックナレイ、ノックネレイくらいに発音する模様。Wikipedia参照)。タクシーの運ちゃんには地図で指し示して向かってもらった。すると「歩きに行くんですかー。」といわれた。地元ではハイキングコースとして認識されているらしい。私のほかにも地元の人と思われるハイキング客(家族連れ)がそれなりにいた。
山頂の女王メーヴの古墳の上からは大西洋(Atlantic OceanまたはSligo Bay)とスライゴーの町が一望できる。
山頂でほかのハイキング客と話し込み、南にノックナレイと同じような古墳の山(Carrowheel)があると教えてもらった。こちらも車がないと厳しそうである。


女王メーヴの墓はおよそ紀元前2500年(4500年前)に作られたものであるらしい。ケルト神話は紀元後の話だから、明らかに時代がずれていることになる。伝説の中の一部というより、キャロウモア(Carrowmore)の遺跡群とセットと考えて見に来る方が楽しいかもしれない。
女王メーヴの墓は、キャロウモアの案内にも書いてあるが、羨道墳(Passage grave)の一つである。古代アイルランド人は冬至の日を特別なものとして考えていたらしく、冬至の日の陽光のみ、墳墓を貫く小道の最奥まで光が届く仕組みになっている。ダブリン近郊のニューグレンジ(Newgrange)でも同じ作りになっているが、地理的な位置の違いから小道が造られている角度が異なっているという。(女王メーヴの墓はニューグレンジより北にあるので、冬至の日の太陽が低い位置になる。)

なおこのノックナレイ山、周りに障害物がないため、実はスライゴー周辺からならどこからでも見える。キャロウモアからも見えるし、スライゴーの町からも見える。列車の車窓からも、よく注意していれば見えるはずである。
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